地方へ移住して東京の仕事を続けたい場合、最初に確認したいのが、勤務先が新幹線通勤を認めているかです。
税法上、新幹線料金を非課税の通勤手当に含められる場合があっても、会社が新幹線代を全額支給するとは限りません。
新幹線通勤が認められるか、定期券を購入できるか、1日または1カ月にいくら支給されるかは、勤務先の就業規則や給与規程によって決まります。
移住後に「新幹線代は支給対象外だった」と分かると、毎月数万円から10万円以上の自己負担が発生する可能性があります。物件を契約する前に、必ず会社へ確認してください。
この記事では、新幹線通勤の申請前に確認する項目、会社への相談方法、定期券と実費精算の選び方を整理します。
東京へ新幹線通勤できる街を比較する

新幹線通勤が認められるかは会社の規程で決まる
通勤手当や交通費について、すべての会社に共通する支給額や支給方法が法律で決められているわけではありません。
会社ごとに、就業規則、給与規程、通勤手当規程などで次のような条件を定めています。
- 新幹線・特急料金を支給対象にするか
- 片道の通勤時間に上限があるか
- 自宅から会社までの距離に上限があるか
- 1日または1カ月の支給上限はいくらか
- 定期券代と実費精算のどちらを採用するか
- 最安経路と最短経路のどちらを認めるか
- 在宅勤務者にも定期券を支給するか
- 駅までのバス代や駐車場代を支給するか
同じ区間でも、A社では新幹線定期券を全額支給し、B社では在来線相当額だけを支給し、C社では月額上限を超えた部分を自己負担とすることがあります。
過去に新幹線通勤が認められた社員がいても、自分の勤務条件で認められるとは限りません。必ず人事・総務部門へ個別に確認しましょう。
通勤手当が非課税でも会社の支給義務とは別
国税庁によると、電車やバスなどの公共交通機関を利用する通勤手当は、「最も経済的かつ合理的な経路および方法」による金額について、1カ月15万円まで非課税となります。
新幹線や特急列車の料金も、その利用方法が経済的かつ合理的と認められる場合は、非課税の通勤手当に含めることができます。
ただし、グリーン料金は、通常の通勤に必要な料金とは認められないため、非課税の対象には含まれません。
| 項目 | 税務上の扱い |
|---|---|
| 新幹線普通車自由席・指定席 | 合理的な通勤経路なら非課税対象になり得る |
| 特急料金 | 合理的な通勤経路なら非課税対象になり得る |
| グリーン料金 | 合理的な通勤に必要な料金とは認められない |
| 非課税限度額 | 公共交通機関等は原則として月15万円まで |
ここで注意したいのは、月15万円まで非課税になることと、会社が月15万円まで支給することは別だという点です。
会社が定める通勤手当の上限が月5万円なら、残りは自己負担です。会社が新幹線料金を対象外としている場合は、在来線相当額しか支給されないこともあります。
会社へ確認する7つの質問
「新幹線通勤はできますか」とだけ質問すると、通勤そのものは認められても、新幹線代の支給範囲が分からないままになることがあります。
人事・総務部門には、次の7点を分けて確認してください。
- 移住予定地からの通勤が就業規則上認められるか
- 新幹線料金は通勤手当の支給対象になるか
- 通勤手当の1日・1カ月当たりの上限はいくらか
- 定期券代と出社日ごとの実費精算のどちらになるか
- 自由席・指定席のどちらまで認められるか
- 自宅から新幹線駅までの在来線・バス代も対象になるか
- 出社頻度が変わった場合、支給方法も変更されるか
口頭で確認するだけでなく、メールや社内申請システムなど、回答が記録に残る方法を使うと安心です。
会社へ相談するときの文例
移住を決定してから承認を求めるのではなく、候補地を絞った段階で相談します。
件名:転居に伴う新幹線通勤および通勤手当の確認
お疲れさまです。
現在、○○県○○市への転居を検討しています。転居後も現在の勤務先への通勤を継続したいため、通勤経路と通勤手当について確認させてください。
想定している経路は以下のとおりです。
- 乗車駅:○○駅
- 新幹線利用区間:○○駅~東京駅
- 片道の所要時間:約○分
- 普通車自由席の往復料金:約○円
- 想定出社頻度:週○回
以下について、ご教示いただけますでしょうか。
- 上記住所からの通勤が認められるか
- 新幹線料金が通勤手当の対象になるか
- 支給上限と自己負担の有無
- 定期券支給または出社日ごとの実費精算のどちらになるか
- 申請に必要な書類と申請時期
転居および物件契約前に確認したく、ご相談いたしました。よろしくお願いいたします。
申請時に用意しておきたい情報
会社から経路や費用の根拠を求められることがあります。次の情報をまとめておくと、申請を進めやすくなります。
| 用意する情報 | 確認内容 |
|---|---|
| 転居予定住所 | 住所または候補物件の最寄り駅 |
| 通勤経路 | 在来線・新幹線・バスを含む全区間 |
| 通勤時間 | 通常の始業時刻に間に合う列車で計算 |
| 1日当たりの料金 | 会社が認める座席区分で計算 |
| 定期券代 | 1カ月・3カ月・6カ月定期の金額 |
| 出社予定日数 | 週1・週2・週5など月間日数に換算 |
| 定期券との比較 | 実費精算と定期券のどちらが安いか |
最速列車だけでなく、通常の始業時刻と終業時刻に利用できる列車で確認します。行きだけでなく、残業した場合の帰宅経路も調べておきましょう。
週1・週2なら定期券より実費精算が安い場合がある
出社日数が少ない場合、新幹線定期券を購入するより、出社する日だけきっぷを購入した方が安いことがあります。
厚生労働省のテレワーク総合ポータルでも、在宅勤務の頻度によっては、定期代ではなく都度精算の方が割安になる場合があると案内しています。
| 出社頻度 | 月の出社日数 | 検討しやすい方法 |
|---|---|---|
| 週1回 | 約4日 | 実費精算を優先して比較 |
| 週2回 | 約8日 | 実費精算と定期券を比較 |
| 週3回 | 約12日 | 区間ごとに損益分岐点を計算 |
| 週5回 | 約20日 | 新幹線通勤定期券を含めて比較 |
実費精算と定期券の損益分岐点は、次の式で計算できます。
新幹線定期券の月額 ÷ 1日分の往復料金 = 定期券が有利になり始める出社日数の目安
例えば、定期券が月14万円、往復料金が9,000円なら、約15.6日です。この場合、月15日以下の出社では実費購入、月16日以上では定期券が有利になる可能性があります。
参考:厚生労働省テレワーク総合ポータル「テレワークの導入方法」
新幹線通勤定期券「FREX」とは
JR各社では、新幹線を通勤に利用するための定期券が販売されています。JR東日本の通勤用新幹線定期券は「FREX」です。
通常の乗車券と新幹線料金を毎日購入する場合より安くなることがありますが、週1〜2回の出社では、定期券の方が高くなる可能性があります。
購入前には次の点を確認してください。
- 利用区間がFREXの発売対象か
- 自由席を利用できる列車と座席区分
- 在来線区間を同じ定期券に含められるか
- 会社がFREX代を通勤手当として認めるか
- 出社日数に対して定期券を購入する方が安いか
- 運賃改定後の最新金額はいくらか
JR東日本では、FREXの申込みと運賃照会を「ネットde定期」から行えます。
会社補助が1日5,000円の場合の自己負担
当サイトでは、勤務先から支給される交通費を1日上限5,000円として試算しています。
新幹線を含む往復交通費が9,200円の場合、1日の自己負担は4,200円です。
| 出社頻度 | 月の交通費 | 会社補助 | 月の自己負担 |
|---|---|---|---|
| 週1回・月4日 | 36,800円 | 20,000円 | 16,800円 |
| 週2回・月8日 | 73,600円 | 40,000円 | 33,600円 |
| 週3回・月12日 | 110,400円 | 60,000円 | 50,400円 |
| 週5回・月20日 | 184,000円 | 100,000円 | 84,000円 |
週1〜2回なら、地方へ移住して下がる家賃によって自己負担を吸収できる可能性があります。
週5回では、会社補助があっても自己負担が月8万円を超えます。通勤時間だけでなく、家賃と交通費を合計して比較してください。
新幹線通勤で会社が慎重になりやすい理由
新幹線通勤を認めるかどうかは、費用だけで決まるとは限りません。
会社側は、次のような点も確認します。
- 遅延や運休が発生したときに出社できるか
- 始業時刻まで安定して通勤できるか
- 残業や緊急出社に対応できるか
- 出社頻度が増えた場合も通勤を継続できるか
- ほかの社員との通勤手当の公平性を保てるか
- 今後の異動や勤務地変更に対応できるか
申請時には、「今は週1回だから大丈夫」だけでなく、出社頻度が増えた場合の対応も考えておく必要があります。
移住前に会社から確認したい回答
| 会社からの回答 | 移住判断 |
|---|---|
| 新幹線通勤可・全額支給 | 通勤時間と出社頻度を中心に判断する |
| 新幹線通勤可・月額上限あり | 上限超過分を毎月の生活費へ加える |
| 新幹線通勤可・実費精算 | 月の出社日数ごとに自己負担を計算する |
| 通勤は可・新幹線代は対象外 | 在来線との差額を自己負担として計算する |
| 遠距離通勤自体が不可 | 移住先、勤務形態、転職を含めて見直す |
最も避けたいのは、物件契約や住宅購入後に会社へ申請し、新幹線通勤が認められないケースです。
移住候補を絞る段階で相談し、承認条件が分かってから、物件契約や引っ越し日を決めましょう。
新幹線通勤と相性がよい移住候補
宇都宮市
東京駅までの乗車時間が短く、駅周辺の生活環境も充実しています。条件を満たせば利用できる新幹線通勤補助制度もあります。

高崎市
複数の新幹線系統が停車し、東京駅まで乗り換えなしで移動できます。家賃を抑えやすい一方、交通費の確認が重要です。

静岡市
東海道新幹線で東京駅へ移動できます。利用できる列車、指定席料金、会社が認める経路を確認してください。

まとめ:新幹線通勤は物件契約前に会社へ確認する
- 刺さる:週1〜2回の東京出社を続けながら、地方の家賃・広さ・自然環境を取り入れたい人。
- 注意:税法上非課税になることと、会社が新幹線代を支給することは別。移住前に就業規則・支給上限・精算方法を確認したい。
新幹線通勤が認められるかどうかは、会社の就業規則と個別判断によって決まります。
確認するのは「新幹線に乗ってよいか」だけではありません。新幹線料金の支給範囲、月額上限、定期券と実費精算、在宅勤務時の扱いまで確認してください。
会社の回答が分かったら、家賃、交通費の自己負担、駅までの移動時間を合計し、移住後も無理なく続けられるか判断しましょう。
地方移住に必要な引っ越し費用も確認する


コメント