「地方へ移住したいけれど、仕事の都合で東京への出社は残る」という場合、一般的な地方移住とは確認する順番が少し異なります。
気になる街や物件から探し始めると、後から通勤手当の対象外だったことや、朝の新幹線に間に合わないことが分かり、候補を選び直す可能性があります。
東京通勤を続けながら移住する場合は、最初に勤務条件を確認し、通勤時間と交通費を試算してから移住先と物件を絞るのが基本です。
この記事では、勤務先への確認から引っ越しまで、実際に検討を進める順番に沿って解説します。

東京通勤を続ける地方移住は順番が重要
東京への出社が残る場合、移住先を決めるまでの大きな流れは次のとおりです。
| 段階 | 行うこと | 決める内容 |
|---|---|---|
| 1 | 勤務先の制度を確認する | 出社頻度、通勤手当、利用できる交通手段 |
| 2 | 通勤の上限を決める | 片道時間、乗り換え回数、自己負担額 |
| 3 | 家計を試算する | 家賃、通勤費、車、駐車場を含む月額負担 |
| 4 | 移住候補を絞る | 候補となる自治体と利用駅 |
| 5 | 現地と通勤経路を確認する | 朝夕の移動、駅周辺、買い物、医療 |
| 6 | 物件を探す | 賃貸、中古住宅、注文住宅 |
| 7 | 契約と引っ越しを進める | 入居日、退去日、引っ越し会社 |
候補となる街を先に見つけること自体は問題ありません。ただし、物件の申込みや購入判断は、勤務条件と通勤費を確認してから行います。
手順1:勤務先の出社条件と通勤手当を確認する
最初に確認したいのは、現在の働き方が移住後も続けられるかです。
上司との口頭確認だけではなく、就業規則、在宅勤務規程、通勤手当規程など、社内の正式なルールも確認します。
出社頻度を確認する
現在は週1回出社でも、繁忙期、研修、人事異動、勤務制度の変更によって出社回数が増える可能性があります。
移住先を選ぶ際は、現在の出社頻度に加えて、週2回または週5回になった場合も継続できるか確認しておくと安心です。
| 出社頻度 | 移住先を選ぶ際の考え方 |
|---|---|
| 週1回 | 新幹線や特急を利用する遠距離通勤も候補にしやすい |
| 週2回 | 通勤時間だけでなく、月の自己負担額が家計に与える影響を確認する |
| 週5回 | 駅までの移動、始発時刻、定期券、毎日の帰宅時間を重視する |
通勤手当の対象範囲を確認する
新幹線や特急を利用できる地域でも、その料金が全額支給されるとは限りません。
勤務先には、次の項目を確認します。
- 通勤手当の月額または日額の上限
- 新幹線・特急料金が支給対象になるか
- 最安経路以外の利用が認められるか
- 定期券と実費精算のどちらになるか
- 自宅から駅までのバス代や駐車場代が対象になるか
- 住所変更に伴う事前申請が必要か
「東京駅まで通える」という事実と、「会社がその経路を通勤経路として認める」ということは別です。物件を契約する前に確認しておきましょう。
手順2:許容できる通勤時間と自己負担額を決める
次に、どこまでの通勤なら続けられるか、自分たちの上限を決めます。
当サイトでは自治体を比較しやすくするため、代表駅から東京駅まで列車に乗っている時間を基準にしています。ただし、実際の通勤では次の時間も加わります。
- 自宅から最寄り駅までの移動
- 駅での待ち時間
- 新幹線や特急への乗り換え
- 東京駅から勤務先までの移動
- 遅延や混雑を見込んだ余裕時間
候補物件が決まった段階では、必ず物件の住所から勤務先までをドア・ツー・ドアで再計算します。

月の交通費を出社頻度別に計算する
1カ月を4週間として試算する場合、週1回は月4日、週2回は月8日、週5回は月20日で計算できます。
| 確認する金額 | 計算方法 |
|---|---|
| 月の交通費 | 1日の往復交通費 × 月の出社日数 |
| 会社からの支給額 | 1日または1カ月の支給上限を適用 |
| 月の自己負担額 | 月の交通費 − 会社からの支給額 |
家賃が現在より下がっても、新幹線代の自己負担で差額がなくなることがあります。住居費と交通費を別々に見ず、合算して判断します。
手順3:移住後の家計を試算する
地方移住では家賃が下がる可能性がある一方、車や駅までの移動にかかる費用が増えることがあります。
移住後の家計には、少なくとも次の費用を入れます。
- 家賃または住宅ローン
- 管理費、共益費、駐車場代
- 東京通勤の自己負担額
- 自宅から駅までの交通費
- 車のローン、保険、税金、燃料、整備費
- 冬用タイヤや除雪用品
- 光熱費の変化
- 帰宅できない場合の宿泊費
特に確認したいのは、「週1回出社なら払えるが、週2回になると赤字になる」という境目です。
出社回数が増えても生活が崩れない範囲で、家賃と通勤費の上限を設定します。
手順4:出社頻度から移住候補を絞る
勤務条件と家計の上限を決めたら、移住候補を探します。
候補地は自治体名だけでなく、実際に利用する駅を基準に考えるのがポイントです。同じ市内でも、駅まで徒歩で行ける地区と、車で30分かかる地区では通勤負担が大きく異なります。
週5回出社の場合
在来線の直通駅や、新幹線停車駅の徒歩・自転車圏を優先します。
家賃の安さだけで郊外を選ぶと、駅までの運転、駐車場、乗り換えが毎日の負担になります。新幹線を使う場合は、定期券代と会社の支給条件も重要です。
週2回出社の場合
新幹線駅や特急停車駅の周辺に加え、主要駅まで在来線や車で移動する自治体も候補になります。
ただし、出社日ごとに長時間の移動が発生するため、朝の接続と帰りの最終列車を確認します。
週1回以下の場合
通勤時間より、家賃、住まいの広さ、買い物、医療、自然環境を優先しやすくなります。
一方、列車の運休や大雪などで出社できない場合の対応について、勤務先と認識を合わせておく必要があります。
手順5:平日の朝と帰宅時間帯に現地を確認する
休日の日中だけでは、実際の通勤負担を判断できません。
候補地を絞ったら、可能であれば平日の朝に候補エリアから勤務先へ移動し、仕事を終える時間帯に戻る往復を試します。
現地確認では次の項目を見ます。
- 自宅候補地から駅までの所要時間
- 朝の道路と駅周辺の混雑
- 駅の駐車場、駐輪場、送迎スペース
- 新幹線や特急への乗り換え時間
- 帰宅時間帯の列車本数
- 最終列車を逃した場合の移動手段
- スーパーやドラッグストアの営業時間
- 必要な診療科がある医療機関
- 夜間の道路、照明、騒音
1回の訪問で決めず、できれば天候や時間帯を変えて確認します。雪のある地域では、冬の駅までの移動条件も調べておきたいところです。
手順6:賃貸・中古住宅・注文住宅から選ぶ
地方移住では広い家を借りやすい地域もありますが、希望する間取りの賃貸物件が少ない自治体もあります。
移住直後から住宅を購入するか、最初は賃貸で暮らすかは、働き方の安定度によって判断します。
| 住まい | 向いている状況 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 賃貸 | 出社頻度や地域との相性を確認したい | 広い間取りやペット可物件が少ない場合がある |
| 中古住宅 | 地域をある程度理解し、早めに持ち家が欲しい | 修繕、断熱、耐震、境界、災害リスクを確認する |
| 注文住宅 | 長期間住む地域が決まっている | 土地選びから完成まで時間がかかり、総予算も確認が必要 |
転職、出社制度の変更、家族構成の変化が考えられる場合は、まず賃貸で1年程度暮らし、地域との相性を確認してから購入する方法もあります。

注文住宅を検討する場合は、土地だけでなく、建物、外構、地盤改良、諸費用まで含めた総額を比較します。
手順7:契約前に災害リスクと生活動線を確認する
同じ自治体の中でも、浸水、土砂災害、津波、液状化などの想定は住所によって異なります。
物件を契約する前に、自治体のハザードマップと国の公開情報を確認し、避難場所までの経路も見ておきます。
災害リスクとあわせて、次の生活動線も住所から確認します。
- 利用駅と駅までの経路
- 日常的に使うスーパー
- ドラッグストアとホームセンター
- かかりつけにできる診療所
- 救急対応を行う病院
- 保育園、学校、通学経路
- 冬季の道路状況
自治体全体の便利さだけでなく、候補物件から日常的に使う施設へ無理なく移動できるかを確認します。
手順8:引っ越し日と各種手続きを決める
物件が決まったら、旧居の退去日、新居の入居日、引っ越し日を調整します。
家賃の重複を完全になくそうとすると、退去と入居が同日になり、荷造りや移動が慌ただしくなることがあります。東京から距離のある地域では、荷物の到着が翌日以降になる可能性も確認します。
引っ越し前後には次の手続きが発生します。
- 勤務先への住所・通勤経路変更申請
- 転出届と転入届
- 電気、ガス、水道、インターネット
- 郵便物の転送
- 運転免許証や車検証の住所変更
- 駐車場契約と車庫証明
- 学校、保育、医療に関する手続き
引っ越し会社によって、同じ条件でも料金や作業内容が異なります。
- 刺さる:複数社の料金とサービス内容を一度に比べたい人
- 注意:見積金額だけでなく、追加料金・作業範囲・荷物の到着日も確認する

地方移住までのスケジュール例
検討開始から引っ越しまでの一例です。注文住宅を建てる場合は、より長い期間が必要になります。
| 時期 | 主な作業 |
|---|---|
| 6カ月以上前 | 勤務制度と通勤手当を確認し、家計の上限を決める |
| 4~6カ月前 | 候補となる自治体と利用駅を絞る |
| 2~4カ月前 | 現地訪問、通勤テスト、賃貸・中古住宅の情報収集 |
| 1~2カ月前 | 物件の申込み、契約、勤務先への住所変更相談 |
| 1カ月前 | 引っ越し見積もり、退去手続き、ライフラインの申込み |
| 引っ越し後 | 転入、車、通勤経路などの変更手続き |
契約前の最終チェックリスト
- 移住後の出社頻度を勤務先と確認した
- 新幹線・特急料金が通勤手当の対象になるか確認した
- 週1・週2・週5出社の交通費を計算した
- 物件から勤務先までのドア・ツー・ドア時間を調べた
- 平日の朝と帰宅時間帯に経路を確認した
- 家賃、交通費、車を含む月額負担を計算した
- 住所単位でハザードマップを確認した
- 買い物、医療、学校などの生活動線を確認した
- 出社制度が変わった場合の対応を考えた
- 賃貸と住宅購入のどちらが現在の状況に合うか比較した
筆者が移住するとしたら
私の場合は、東京駅周辺への出社が週1~2回で、会社から支給される交通費には1日あたりの上限があります。
そのため、最初から住宅を購入するのではなく、まずは東京へ向かう駅を利用しやすい地域で賃貸物件を探します。
実際に1年間暮らし、出社日の負担、車での生活、買い物、医療、冬の道路状況を確認してから、その地域に住宅を購入するか判断したいです。
東京までの乗車時間が短くても、駅まで遠ければ通勤負担は増えます。反対に、東京から多少離れていても、駅の近くで暮らせて出社が週1回なら、生活全体では無理のない選択になる可能性があります。
まとめ:会社確認から始めると移住後の失敗を減らせる
東京通勤を続けながら地方移住する場合、最初に行うのは物件探しではなく、勤務先の出社条件と通勤手当の確認です。
そのうえで通勤時間、自己負担額、家賃、車を含む生活費を計算し、条件に合う自治体と物件を絞ります。
- 刺さる:東京への仕事を残しながら、住まいの広さや自然環境を改善したい人
- 注意:現在の出社頻度だけでなく、制度変更や週2・週5出社になった場合も試算する
移住候補が決まったら、平日の通勤テストと現地確認を行い、物件の住所から勤務先までの時間と生活動線を確かめてから契約へ進みましょう。


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